水墨の風/出光美術館

本日の第2試合は三菱一号館の近くにある出光美術館の「水墨の風」展。「長谷川等伯雪舟」とあるけれど、水墨画入門的なラインアップだった。室町時代から江戸時代に至る水墨画の変遷を学習する。今日はモノトーンな一日である。

これまでさらっと観ることが多かったのだけれど、今日は屏風絵をじっくり眺めてみた。なるほど、そういうことか、と私なりに新発見ができた気がする。等伯の「竹鶴図屏風」というがとても素敵。

こちらも混雑するほどでもなく、気ままに気に入った作品と向き合うことができた。骨董好きっぽい年配な人が多かったけれど、手をつないでいる仲睦まじい様子に憧れてみたり、ちょっとダミ声のおじ様たちの「このしょうじょうがいいやね」といった会話に江戸の粋を感じてみたり。

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レオナルド×ミケランジェロ/三菱一号館美術館

家でぼんやりしている気にならなかったので、三菱一号館美術館の「レオナルド×ミケランジェロ」展をのぞいてみた。

素描が中心だけれども、そこはダ・ヴィンチミケランジェロ、見応え十分なのだった。フィレンツェウフィツィ美術館から来ている作品もあって、あまり間をおかずに再会できてちょっとうれしかったり。一方で、システィーナ礼拝堂ミケランジェロの『最後の審判』の複製画を眺めながら、友人はこれのオリジナルに触れたのだなとちょっと羨ましい気分になった。ローマ、ヴァチカンに行ってみたいものだ。

ダ・ヴィンチの手稿はファクシミリ版しかなくて、まぁ仕方がないのだろうけど、やっぱり本物に触れてみたい。

それほど人も多くなくて、ゆっくり眺められたのが何よりよかった。

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ショスタコーヴィッチと(マーラーな)シューベルト

読響のアンサンブルシリーズというのを聴いてきた。本日の題目はショスタコーヴィッチの室内交響曲と、マーラーの編曲によるシューベルトの「死と乙女」という組み合わせ。

ショスタコーヴィッチがいろんな楽器が旋律を回していく感じなのに対して、シューベルトは息のあった合奏が肝という感じ。最近まで読響のコンマスをやっていて現在ベルリンに在住しているという今日のコンマスの選曲はとても面白かった。

同じ楽団で演奏していたメンバーとの共演は息がばっちりあっていて、ともかく素晴らしい。ショスタコーヴィッチは面白いなぁ、だったのだけど、シューベルトは身を乗り出さんばかりになっていた。

個人的には殊勲賞はヴィオラだと思うけれど、今日のオケはとにかく楽しそうなのが印象に残った。ばっちり決まると、なかなか鳴らないホールもその性能を発揮するのだな。

実力派だけど華のあるコンマスと、共に音楽を作ってきた仲間たちの「今日は楽しいね〜」な演奏会でした。素晴らしかったです。

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『活版印刷 三日月堂』と『Lugar Comn』

課題図書攻略に少し疲れたので、友人に教えてもらった『活版印刷日月堂』を読んでみた。ほしおさなえの本は『ヘビイチゴサナトリウム』を読んで以来なので、ずいぶん久しぶり。

友人の何人かは知っていると思うけれど、私は活版印刷に妙な執着をもっている。小学生の時に遊びにいっていた友だちの家の近所に小さな活版印刷の印刷所があって、前を通るたびに活字を観察していたからかもしれない。その印刷所の長女も同級生だったりして、お父さんが亡くなった時にすべて処分してしまったという話を母親から聞いた。つながっていれば、私が引き取ると言い出したかもしれない。

この本を紹介してくれた友人の一人は、このお話がとても好きで川越まで足を運んだらしい。私はといえば、何度も外れる活版印刷のワークショップに次回も応募してみようと決意を新たにした。

余韻の残るストーリーは嫌いじゃない。すでに入手済みだけど、続きは少しあいだをあけてからにしようかしら。

何の関連もないけれど、この本のBGMはJoao Donatoの『Lugar Comn』にした。と、こちらは課題曲が関係していたりもするのだけれど。1975年の名盤のひとつ。今日はずっとパワープレイになっていた。ポルトガル語を理解してみたい今日この頃。何度聴いても飽きない素敵なアルバムなのだった。

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浅野武二の木版世界/府中市美術館

日比谷線でばったり遭遇したギャラリーの友人から招待券をいただいたので、府中市美術館までドライブしてみた。

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名所絵から自由版画、晩年の作品まで、浅野武二の世界をのんびり楽しんだ。繊細、緻密な名所絵から抽象的な表現が確立されるまでの試行錯誤のプロセスがとても面白い。「食卓の猫」に描かれた猫が個人的にはとっても素敵だった。

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府中市美術館は版画のコレクションで有名なんだとか。といっても、版画以外の常設展示も特徴があって楽しかった。

そのほとんどが地下に埋められているという謎の彫刻も置かれていたり。アートも奥が深い。

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奈良・西大寺展/三井記念美術館

友人と落ち合う前に見仏してみた。

なんか吉祥天萌えなひとであふれていた。もっと早く来れればよかったのだけれど。

奈良の西大寺にはまだ行ったことがなかったりして、またのんびりゆっくり散歩してみたいものだというのが本日の感想。人が多すぎでちょっといらつき気味だったのだけれど、「お前はまだまだだな」と凜とした表情が素敵な興正菩薩に叱られた気がした。

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武富さんのお別れの会

先だって亡くなった日本ユニ・エージェンシーの武富義夫さんのお別れの会にお邪魔した。ユニにしろタトル・モリにしろ版権エージェンシーというのは直接かかわることが少ないのだけれど、日ごろとてもお世話になっていたりする。

私自身は直接お目にかかったことはないのだが、いただいた本を斜め読みしただけでもとても素敵な人だったのだな、というのがよくわかる。海外がとても遠い時期に本や音楽を私たちに紹介してれた先人のおかげで今の私があるのではないかと思ったりする。さまざまな情報が簡単に手に入る現在の状況は必ずしもベストではないかもしれないとか考えていた。

恩師を見つけたり、前の職場の版権担当さんに会ったりと、個人的には久しぶりな人たちとの会話に花が咲いた。仲良くさせてもらっていた版権担当の一人がユニに入っていて驚いた。世界は狭い。

フランクフルト、シカゴ、ニューヨークのブックフェアで仕事をご一緒した(といっても私は同行させてもらっただけだけれど)もう一人の先輩とは話題がつかなくて、終わったあとも盛り上がっていた。積もる話がちっとも減らない。再会を約束して解散とあいなった。完成したという黒檀のアロサウルスを見せていただきたいもの。

また飲みましょう。

 

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