『車のいろは空のいろ 白いぼうし』『ちいちゃんのかげおくり』

活版印刷日月堂』に取り上げられていた、あまんきみこの本を読んでみた。姪への手みやげにしてみようというたくらみ。

ものを覚えるのがあまり得意ではない私だけれど、『白いぼうし』のことはしっかり記憶されているようだ。

 

「これは、レモンのにおいですか?」

  「いいえ、夏みかんですよ。」

 

「よかったね。」

  「よかったよ。」

 

話の内容はあいまいだったけれど、この会話を鮮明に覚えているのは、そのとき何かあったからかもしれない。って、それが何かは覚えていないのだけれど。

『ふかふかウサギ』を読み直したときにも思ったけれど、断片的とはいいながらもずいぶん昔に読んだ本の一節を覚えているというのは我ながら興味深い。

さて、姪は読んでくれるかしら。

 

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『活版印刷三日月堂 海からの手紙』

活版印刷日月堂』の第2弾。宿題に飽きて気分転換で読み始めたら最後まで読んでしまった。

何度応募してもいつも外れる活版のワークショップがあったりするのだけど、次は参加したいという思いがますます強くなった。そういう時代だったら私は活版職工になっていたかもしれないと妄想する。

素敵なお話でした。第3弾があればうれしい。

 

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アルチンボルド展/国立西洋美術館

都議選挙で外に出たので、国立西洋美術館に寄り道してアルチンボルドの絵を観てみた。ハプスブルク家にゆかりがあったりするのか。不思議な世界を支える基本がすごいのだな。ダ・ヴィンチの素描なんかもあって、イタリア芸術の奥深さに触れられた気がする。

寄せ絵といえば国芳を思い出すのだけれど、洒落っ気に関しては共通することが多いのかもしれない。

企画展を楽しんだあとは常設ものんびり眺めるというのが国立西洋美術館のコースなのだけれど、私のお気に入りのいくつかは外されていた。かなり変わった気がしたので、係員さんに聞いてみたところ、少しづつ変えているとのこと。友人のお気に入りである「嘆きの聖母」はお出かけ中だとか。常設の構成を再確認するのも美術館散歩の楽しみ方なのだな。

 

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水墨の風/出光美術館

本日の第2試合は三菱一号館の近くにある出光美術館の「水墨の風」展。「長谷川等伯雪舟」とあるけれど、水墨画入門的なラインアップだった。室町時代から江戸時代に至る水墨画の変遷を学習する。今日はモノトーンな一日である。

これまでさらっと観ることが多かったのだけれど、今日は屏風絵をじっくり眺めてみた。なるほど、そういうことか、と私なりに新発見ができた気がする。等伯の「竹鶴図屏風」というがとても素敵。

こちらも混雑するほどでもなく、気ままに気に入った作品と向き合うことができた。骨董好きっぽい年配な人が多かったけれど、手をつないでいる仲睦まじい様子に憧れてみたり、ちょっとダミ声のおじ様たちの「このしょうじょうがいいやね」といった会話に江戸の粋を感じてみたり。

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レオナルド×ミケランジェロ/三菱一号館美術館

家でぼんやりしている気にならなかったので、三菱一号館美術館の「レオナルド×ミケランジェロ」展をのぞいてみた。

素描が中心だけれども、そこはダ・ヴィンチミケランジェロ、見応え十分なのだった。フィレンツェウフィツィ美術館から来ている作品もあって、あまり間をおかずに再会できてちょっとうれしかったり。一方で、システィーナ礼拝堂ミケランジェロの『最後の審判』の複製画を眺めながら、友人はこれのオリジナルに触れたのだなとちょっと羨ましい気分になった。ローマ、ヴァチカンに行ってみたいものだ。

ダ・ヴィンチの手稿はファクシミリ版しかなくて、まぁ仕方がないのだろうけど、やっぱり本物に触れてみたい。

それほど人も多くなくて、ゆっくり眺められたのが何よりよかった。

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ショスタコーヴィッチと(マーラーな)シューベルト

読響のアンサンブルシリーズというのを聴いてきた。本日の題目はショスタコーヴィッチの室内交響曲と、マーラーの編曲によるシューベルトの「死と乙女」という組み合わせ。

ショスタコーヴィッチがいろんな楽器が旋律を回していく感じなのに対して、シューベルトは息のあった合奏が肝という感じ。最近まで読響のコンマスをやっていて現在ベルリンに在住しているという今日のコンマスの選曲はとても面白かった。

同じ楽団で演奏していたメンバーとの共演は息がばっちりあっていて、ともかく素晴らしい。ショスタコーヴィッチは面白いなぁ、だったのだけど、シューベルトは身を乗り出さんばかりになっていた。

個人的には殊勲賞はヴィオラだと思うけれど、今日のオケはとにかく楽しそうなのが印象に残った。ばっちり決まると、なかなか鳴らないホールもその性能を発揮するのだな。

実力派だけど華のあるコンマスと、共に音楽を作ってきた仲間たちの「今日は楽しいね〜」な演奏会でした。素晴らしかったです。

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『活版印刷 三日月堂』と『Lugar Comn』

課題図書攻略に少し疲れたので、友人に教えてもらった『活版印刷日月堂』を読んでみた。ほしおさなえの本は『ヘビイチゴサナトリウム』を読んで以来なので、ずいぶん久しぶり。

友人の何人かは知っていると思うけれど、私は活版印刷に妙な執着をもっている。小学生の時に遊びにいっていた友だちの家の近所に小さな活版印刷の印刷所があって、前を通るたびに活字を観察していたからかもしれない。その印刷所の長女も同級生だったりして、お父さんが亡くなった時にすべて処分してしまったという話を母親から聞いた。つながっていれば、私が引き取ると言い出したかもしれない。

この本を紹介してくれた友人の一人は、このお話がとても好きで川越まで足を運んだらしい。私はといえば、何度も外れる活版印刷のワークショップに次回も応募してみようと決意を新たにした。

余韻の残るストーリーは嫌いじゃない。すでに入手済みだけど、続きは少しあいだをあけてからにしようかしら。

何の関連もないけれど、この本のBGMはJoao Donatoの『Lugar Comn』にした。と、こちらは課題曲が関係していたりもするのだけれど。1975年の名盤のひとつ。今日はずっとパワープレイになっていた。ポルトガル語を理解してみたい今日この頃。何度聴いても飽きない素敵なアルバムなのだった。

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