『博士と狂人』

大先輩から「ぜひ読みなさい」と紹介された本。OED (Oxford English Dictionary) がいかに誕生したのかという話なんだけれど、小説のようなドラマチックな展開で驚いた。

大英博物館に代表されるように「そうと決めたら徹底的に集める」というのが私的なイギリス人観なんだけれど、その精神は辞書の編纂にもいかんなく発揮されている。しかも、それを支えた重要な人物の一人が社会から強制的に隔離されていたという。

OEDの更新は今も続けられているということだが、最初の一歩の壮絶な裏話はまったく知らなかった。日ごろお世話になることも多いOED。これからも大切に使わせていただこう。

 

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『戦争まで』

漠然と私なりに「戦後」というのを考え直してみなければと思っていたときに出合った本。

中学生、高校生とともに展開される講義録の形態なのだけれど、どんどん引き込まれていった。現代史について私の理解していることがなんと表層的なのだと思い知ったのはいうまでもない。

混沌とした今日の状況を冷静にとらえなければならないな、と自分に言い聞かせているところ。

とても勉強になりました。

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ほとけを支える 蓮華・霊獣・天部・邪鬼/根津美術館

お天気もよくないのに雑用で外出することになったので、根津美術館まで足を伸ばしてみた。ブラタモリ高野山を見て、仏教の何かを観たくなったという理由もあったけど。

 

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仏教の世界観に欠かせない花や動物の視点から見てみるという企画。文殊菩薩の獅子と普賢菩薩の像がリラックスした姿で描かれている釈迦三尊像が印象に残ったり。といっても、最も心に残ったのは、金剛界八十一仏曼荼羅だったりする。もっと知識があれば、その世界をもっと理解できるのだけれど。

秋祭りの三連休。根津美術館に神輿が登場したり、渋谷の駅に向かって練り歩いてみたり。

 

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月岡芳年/太田記念美術館

月が好きな友人に誘われて太田記念美術館月岡芳年「月百姿」に足を運んでみた。昼の用事を済ませてから友人と合流したので、私は少し疲れ気味。卒塔婆に腰掛ける老婆というのがあったおかげで、そのあと「月百姿」の文字が「月百婆」に見えてしまい、ひとり苦笑を繰り返していた。

明治期に刷られたという月岡芳年の錦絵は、月にまつわる有職故実を題材にして人物や動物がいきいきと描かれている。繊細な線のわりには大胆な構成になっていたりして、案外ひねくれた人だったのかもしれないなと思った。

私的におもしろかったのが顔料違いだったりする。江戸期の浮世絵と比べると発色がポップな雰囲気なような。それも文明開化の影響なのか。

 

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夕飯は友人と鰻なんかを味わってみたり。地元で何度も噂を聞いていた渋谷、松川の暖簾をようやくくぐった。美味しかった。

 

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進化する不可能立体錯視/明治大学博物館

だまし絵を見に明治大学に足を運んでみた。いちおう私の母校だけれど、きれいになる前に卒業しているので、ずいぶん印象が違うのはしかたがない。

錯視というのは数理科学の領域になるのか。といっても、エッシャーが好きなこともあり、単純に作品を楽しんでいた。動画を撮ればよかったのだけれど、軟体立体「右を向きたがる矢印」というのが、なるほどーという感じでとても好きだった。

3Dプリンターがあるからこういうのを作りやすいねと話している人がいたけれど、なるほどそういう一面もあるのかも。

明治大学博物館のある場所はかつて私たちが使っていた校舎があったところにある。指定の階に止まれないエレベーターがあったな、とか、しょうもないことをいくつか思い出した。

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ボストン美術館の至宝/東京都美術館

21時まで開館ということだったので、疲れ目を癒しに東京都美術館に足を運んでみた。

ボストン美術館って一度は行ってみたいところなのだけれど、今回はエジプト、東洋、西洋、現代美術と、ボストンに行った気になれる構成。ここの東洋コレクションはとても素敵なのだった。涅槃図もいいけれど、なんといっても九龍図鑑という龍の絵がよくて、しばらく見とれていた。

西洋絵画もあれこれ来ていて、ゴッホもモネもいいのだけれど、私的にはやっぱりコローが好き。アメリカ人の作家の作品は、生真面目な感じがでているものが選ばれているような。

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金曜夜の美術館。人も少なく、おしゃべりおばさまがいるわけでもなく、喧騒もなく、ゆったりした時間で気分転換ができたかと。

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それにしても、ボストンに行ってみたいものだ。

Kappan Tokyo, 2017

散歩の途中で寄ってみたのが、「活版Tokyo, 2017」。活版印刷に対するブームは一時的なものではないけれど、自分的に盛り上がっていることの一つに違いはない。

 

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友人は知っていたようだけれど、私にはとてもとても懐かしい人が出店していた。忘れられているかと思ったけれど、覚えていてくれたらしく、ありがたいかぎり。

 

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今後の活躍、期待しています。