友人と連れ立って上野までルーベンスの絵を眺めに行ってみた。とても勉強熱心な人だったのだな、というのがよくわかる構成。友人が理屈っぽいと語っていたのだけど、そうかもねという感じ。ルーブル美術館にかかっているような大きな作品を人の少ない空間でゆっくり眺めてみたりすると、その真価が見えてくるのかもしれない。
今回は私の図録を買わなきゃ病は発症しなかったので、絵葉書を3枚購入する程度でおさまった。
読書会で紹介してもらった本を読んでいた。
豊臣秀吉による朝鮮出征がなぜ行われたのか、という素朴な疑問から、当時の欧州情勢と日本の複雑な状況を見直してみるという実に興味深い内容をだった。教科書の表層的な知識とか歴史小説などのバイアスのかかった描写でなんとなく理解した気になっていた私なわけだが、これは認識を改めなければなるまいという感じ。
数年前にフィリピンのマニラからメキシコへ至る太平洋航路が16世紀、17世紀あたりに確立していたという英語のテキストに触れたことがあって、ちょっと調べてみようと思いながらもそのままにしていたことだったりもするので、よい本を教えてもらった。慶長遣欧使節は当時の日本情勢、世界情勢に呼応したものであったこと、日本は簡単に征服できる国ではないと欧州に認識されていたこと、などなど、見方を変えると違うことが見えてくるのが面白い。
そのうち勉強し直そうと思っている私自身の素朴な疑問、妄想、仮説を検討するときにも役立ちそうな雰囲気だったりする。
読んだ。むむむ。
読もうかどうか考えていたところ、読書会で聞いた「〜らしい」というのに背中を押されて入手してみた。
訳者あとがきにあるほどは落ちなかったけれども、私なりにいろいろ目から鱗が落ちた本だった。実際、この本を読んでいるときに観た「2001年宇宙の旅」はこれまでとは違う視点で内容を考えたり、週末の散歩で足を運んだ見仏もいつもと違う見え方がした気がする。
個人的には、進化をこうとらえるのだなというのが新鮮だったりした。『銃・病原菌・鉄』を楽しく読んでいたりするので、なるほどーな感じ。時間に支配されている今日の私たち、というのもそうだよねと、頷いていた。時間というよりも、コンピュータのミリ秒単位のクロックに支配されていると思ったりもしたけれど。
最も印象に残ったのが、「科学は知識の革命ではなく、無知の革命だった」というところかも。あと、翻訳のなかでエジプトに関連する訳語で突っ込みどころがあったことを自分への記録として書いておこう。
とても興味深い、おもしろい本であったことは間違いないかしらね。
出かける用事があったので、六本木のサントリー美術館に立ち寄ってみた。
西国お寺巡りのおりに醍醐寺にも行ったことがあるけれど、時間の都合であまりゆっくりできなかった。奥の院まで行くという課題もクリアできていないまま。醍醐寺の歴史に触れられてよかった。伝統あるお寺の展示だけあって、人出も多かったけれど。
見仏を楽しんだり、曼荼羅の世界観を思い出してみたり、人混みにまみれながらも文書の解読に挑戦してみたりと、私的にはとても充実した内容だった。
まじまじ眺めたのが、足利尊氏の手による文書。私の個人的な印象とはいえ、似たような雰囲気をもつ字を書く人って優秀な人が多いんだよなという感想をもった。図録で見直してみたけれど、写真ではあの雰囲気を感じるのは難しい。やっぱり実物を見てみないと本質はわからない。平家納経を見たときにも同じような感想もったなということを思い出してみたり。
見仏は楽しい。