<b>出版社が提供するサービス?</b>

陸這記を読んでいて,出版社が提供するサービスってなんだろうと改めて考えてしまった。
専門書の仕事をしていると,筆者のコストパフォーマンスが向上しているとは考えにくい。“プロの最低限の技術”という定義がかなり異なると思うからだ。道具は確かに便利になったけど,そのまま作品として成立する原稿が出来上がってくることは少ない。自分の仕事が仲介者として成り立つのであれば,どんなに楽だろう。
一方で,大量消費に支えられる価格破壊をしてきたのは自分たちだ。技術者相手の専門書も,大衆相手の解説書も,同じように扱ってきたのも自分たちだ。機能停止の原因をすべて外部に求めようとしているのも自分たちだ。
自分の仕事は第三次産業だとずっと思ってきたし,出版社が何をすべきか(何を提供して,何に対価を求めるのか)ずっと考えてきたけど,商業電子出版を妄信する人とか,紙媒体の一般書だけに価値を求める人に囲まれていると,どんどん自信がなくなってくる。

と,嘆いてばかりもいられないのが悲しい現実。プロパーな編集として(そう呼ばれるのは本意ではないが),ない知恵絞ってみるまでだ。