<b>正蔵襲名披露で大いに笑う</b>

 ずっと一度は行ってみようと思っていた寄席に行ってきた。新宿末廣亭の,正蔵襲名披露でデビューというのはいい選択だったかも。もっと早く来ればよかったと大いに後悔する。襲名披露の豪華出演者というのもあったんだろうけど,笑った笑った。
 小朝は上手だったし,私小説ならぬ私落語というのをやっているという鶴瓶にはがっちりつかまれた。円蔵のとぼけた道具屋もよかったし,馬風の痛烈な皮肉は気持ちいいくらいだった。先代正蔵をねたにした木久蔵はいい味を出していた。さすが。洒落をいうとかなりの時間が経ってから「あ,そういうことだったんだぁ」と声を出して感心するおばちゃんがそばにいて,それが余計に私を笑わせていた。
 正蔵の古典はひたむきさが伝わってくる感じのいい話だったと思う。ちょっと気負ってるなという気もしたけど,背負った看板の重さなんだろうか。きっとこれからもっと魅力的になるんじゃないか。
 今日の末廣亭は,めったに開けないという2階席までいっぱいの大入り。並んでいるときに隣にいたおばちゃんが「いつもはかわいそうなくらい人がいないんだよ」と教えてくれた。落語家たちが人の多さをかなり皮肉っていたのが印象的。また足を運んでみてもいいなぁとか思いながら寄席を後にしたのだった。