<b>アイの物語</b>

アイの物語

 現実社会とネットワーク社会,現実と仮想現実,ヒトと人工知能といった対比が印象的なSF小説。短編集となっているが,それぞれを有機的に結び付けるインターミッションがいい味を出している。1つ1つの短編はオーソドックスな展開だと思うけど,社会的な背景などが緻密に描写されており,とっても読み応えがあった。
 すべての人間は基本的に認知症であり,AIはそれに呼応するロールプレイをしているにすぎないといった,過激だなぁと思わせるところもあるけど,人間分析は説得力がある。
 進化したAIが宇宙をめざす理由が語られるところで,ちょっと感動した。ハーロックアルカディア号のように,私も冒険できればどんなにうれしいことか。



 私は自分に期待されるロールに納得していないのかも知れない。納得しないといけないんだろうけど。
 でもなぁ。