『広辞苑はなぜ生まれたか』

『博士と狂人』を読んだ流れで買ってみた。『広辞苑』の裏話を題材にした本はいくつもあるようだけれど、この本は編者である新村出にフォーカスを当てたもの。優れた言語学者であって、日本の図書館の普及にも大きな役割を果たした人なのだった。

初版刊行後に寄せられる質問や指摘に丁寧に答えていたそうで、辞書作りは本当にたいへんな仕事なのだなと改めて感じた。誤植の指摘も多かったそうで、まして活版の時代だし、それゃそうだなと思ってみたりした。

現在の制作体制は知らないが、当初は編者費用は編者負担で印税から差し引かれていたのだとか。今も昔も本をまとめるのは簡単ではない。

新村出という人は、「三然主義者」だったという。自然を愛し、偶然を楽しみ、悠然と生きるのが、のだそうで。私もそんなふうになってみたいもの。

 

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