諸橋近代美術館といえばダリのコレクションが有名なところ。というのを友人に教えてもらった。会津出身の別の友人は知らなかったそうで、人それぞれの関心のベクトルはずいぶん違うものだと実感する。私はといえば、国立新美術館のダリ展に足を運んでいて、諸橋近代美術館から出展されていた作品も見ているものの、美術館の存在はきちんと認識していなかった。というわけで、その世界観などに改めて向き合ってきた。ちょうどダリ生誕120周年の企画展にあたったというのは運が良い。
シュールレアリスムというのは私にはとても難しいのだけれど、ともかく描かれているものを自分なりに直感的に受け止めてみましょうという姿勢でのんびり眺めてきた。『キリスト教美術シンボル事典』を最近たまたま読んでいた成果があったようで、以前漠然と眺めていたときよりは少しだけ見え方が変わっていた気がする。と、ぐにゃぐにゃの世界は相変わらずよくわからない。友人が特に気に入っていた彫刻があって私もいいなと思ったのだけど、図録などには収録されていなくてちょっと残念だった。『不思議の国のアリス』の挿絵が元になっているようだ。
あちこちに登場するつっかえ棒は何を意味しているのか、と思って説明を読むと、それが松葉杖であり、ダリの精神的な支えを示しているということ学んだ。なるほど。人の数がほどほどでマイペースで作品を眺められると、これまで気が付かなかったものが見えてくる。奥が深い。
美術館の横を川が流れていたりして、ふらっと立ち寄るにはとてもいいところだなと思ったのだった。



