『サピエンス全史』

読もうかどうか考えていたところ、読書会で聞いた「〜らしい」というのに背中を押されて入手してみた。

訳者あとがきにあるほどは落ちなかったけれども、私なりにいろいろ目から鱗が落ちた本だった。実際、この本を読んでいるときに観た「2001年宇宙の旅」はこれまでとは違う視点で内容を考えたり、週末の散歩で足を運んだ見仏もいつもと違う見え方がした気がする。

個人的には、進化をこうとらえるのだなというのが新鮮だったりした。『銃・病原菌・鉄』を楽しく読んでいたりするので、なるほどーな感じ。時間に支配されている今日の私たち、というのもそうだよねと、頷いていた。時間というよりも、コンピュータのミリ秒単位のクロックに支配されていると思ったりもしたけれど。

最も印象に残ったのが、「科学は知識の革命ではなく、無知の革命だった」というところかも。あと、翻訳のなかでエジプトに関連する訳語で突っ込みどころがあったことを自分への記録として書いておこう。

とても興味深い、おもしろい本であったことは間違いないかしらね。

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京都・醍醐寺 真言密教の宇宙/サントリー美術館

出かける用事があったので、六本木のサントリー美術館に立ち寄ってみた。

西国お寺巡りのおりに醍醐寺にも行ったことがあるけれど、時間の都合であまりゆっくりできなかった。奥の院まで行くという課題もクリアできていないまま。醍醐寺の歴史に触れられてよかった。伝統あるお寺の展示だけあって、人出も多かったけれど。

見仏を楽しんだり、曼荼羅の世界観を思い出してみたり、人混みにまみれながらも文書の解読に挑戦してみたりと、私的にはとても充実した内容だった。

まじまじ眺めたのが、足利尊氏の手による文書。私の個人的な印象とはいえ、似たような雰囲気をもつ字を書く人って優秀な人が多いんだよなという感想をもった。図録で見直してみたけれど、写真ではあの雰囲気を感じるのは難しい。やっぱり実物を見てみないと本質はわからない。平家納経を見たときにも同じような感想もったなということを思い出してみたり。

見仏は楽しい。

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天文学と印刷/印刷博物館

読書会の前に印刷博物館に立ち寄って「天文学と印刷」(と、三日月堂)を眺めてみた。印刷技術と天文学の関係がわかるとても勉強になる企画。上野の森でのんびりできなかったぶんを取り返すように、1冊1冊ゆっくり確認できた。ところどころにある書き込みの文字もとても美しくて、きれいな文字を書けない私は恥ずかしいかぎりだ。

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凸版印刷がやっているだけあって、図録もちらしも凝りまくり。うらやましい。

併設の三日月堂の展示も素敵。本を読んでいる人はとても楽しいのではないか。版画は買えなかったけど、星見表はしっかり入手した。

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印刷博物館は何度来ても楽しいところなのだった。

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京都大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ/東京国立博物館

トーハクに見仏に行った記録をつけ忘れていた。大報恩寺にはまだ行ったことがなくて、今回の仏たちはみなさんはじめましてのごあいさつ。肥後定慶作の六観音菩薩像のどこか優雅な姿が素敵たった。快慶による十大弟子の雰囲気もすごくよかった。解空第一「何事にも執着しないことこそ、真理である」という須菩提立像をしばらく眺めていた私だった。

見仏大好き。六観音の一つを撮影してもよいというのも粋な計らいだ。

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『阿波藍のはなし』

友人がやっているギャラリーの個展で入手してきた藍染に関する本。歴史から技術まで、阿波藍のことがよくわかる本格的な内容。力作だ。と、読むのが難しい漢字がたくさんあって、少しルビを振ってくれたらよかった。私的には、さまざまな色の名前を勉強できたのがよかった。

藍染とか蒔絵とか、日本の伝統工芸になんとなく興味を持つのは、職人であった父親の影響なのかもしれない。といっても、一族郎等の狭い世界が好きになれなくて、そうそうに家業は継がないと宣言し、父親とは何度も喧嘩になったものだけれど。

ギャラリーに展示してあった藍染の作品はどれも素敵だった。そのうち藍が似合うおっさんになれれば嬉しい雰囲気。

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『はじめて出会うコンピュータ科学』全8巻

私の周辺で話題になっていたのに興味をもったので、古本を買って読んでみた。こういうシリーズが出ていたことを知らなくて、日ごろの勉強不足が露見した感じ。

2進数、論理、アルゴリズム、ネットワーク、オペレーティングシステムと、今日のコンピュータの基本がはじめて読む人にもわかるように解説されている。抽象的なことを工夫して説明していると思うけれど、このシリーズを読みこなすにはそれやりに努力しなければならないかと。

ともあれ、入門書という難しい課題に取り組んだ筆者陣の熱意が伝わるよい本でした。

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