<b>景観が変わるということ</b>

 陸這記などで問題提起されている下北沢ほど大規模ではないが,いま私が住んでいる世田谷区等々力でも大井町線等々力駅の地下化という計画が進んでおり,地下水脈の分断による等々力渓谷の危機が叫ばれている。
 これに関してシンポジウムがあるというので,覗きにいってみた。宮崎哲弥,金子勝,紀藤正樹五十嵐敬喜というパネリストがどんなことを話すのか興味があったからなんだけれど。

 環境を守るというのは難しいものだということはよくわかったが,その前になぜこの環境を守らなければならないのかという理由がよくわからなかった。人口減少という厳しい現実を前にして,利便性を理由に再開発を進めることに活路を見いだそうとするゼネコンのばかばかしさにはあきれるばかりだ。かといって,ではどのような街づくりをしたいのか,そういった前提がよくわからないまま,自然を守るが錦の御旗というのはちょっと弱いのではないか。
 これまでさんざん汚してきておいて,いまになって何をいうかといった発言した人がいたが,そのよう裾野の広い意見がもっと聞かれないと,一部住民のマスターベーションになってしまう気がする。この計画は不当だけれど違法ではない,裁判したところで勝てないけど負けないようにする方法はある,という五十嵐さんの発言が心に残る。
 都下にありながら田舎な等々力周辺。そんな雰囲気が私は気に入っていたりするわけで,どうなっていくのか注目していきたいと思ってみたりする。