<b>帰国する</b>

 帰国した。
 夜出発,朝到着という便だったので,これまでの旅行のような時差ぼけもなく,今晩眠ればなんとかなるような。
 戻ってきて最初に感じたのは,東京の街並みがとっても清潔だってってことだ。お盆休みで人が少ないというのもあったんだろうけど。
 日本の道路がなんと平坦なことかと再認識する。でこぼこで頭を天井にぶつけることもないし,クッションのないシートのおかげでお尻が熱を持つこともない。
 ま,出国するまでは二度ときたくねぇなと思っていたが,家に戻ってくればもの足りなさが残っており,あの喧騒に再びまみれてみたいものだと実感したりする。そんなものか。



 自分へのお土産は,ガンジー記念博物館で入手したヒンズー語の本。「読めるのかよ」と突っ込まれたが,めでるだけで私は十分満足である。
 いつもなら買ってくるTシャツとか怪しげなグッズを物色する時間はなかった。書店に足を運ぶ時間も,CDをながめる時間もとれなかった。かなり心残りだったりする。



 ちなみに,インドの出国は想像以上に厳しいものだった。情勢は,私が思っているより深刻なのかもしれない。
 機内持ち込みは,厳密に1つ。お土産の紙袋も1つだし,巾着も1つ。
 で,エア・インディアは電子機器がいっさいだめ。PCはもとより,携帯電話とかMP3プレイヤーとか,電気を使うものはすべてチェックインしろといわれた。あと,それよりうるさいのが液体。ペットボトルのミネラルウォーターもだめ。シャンプーとかリンスなんかは絶対手荷物に入れない方が面倒な時間を使わずに済むと思われる。抗議していた(怒鳴り散らしていた)おじさんがいたけど,問答無用に没収。
 といっても,航空会社による温度差の違いがあり,しかもセキュリティチェックは共通なので,だめだだめだという割りにはちゃっかりPCを持ち込んでいる乗客もいたりする。このあたりは,インド流。うまくやれば,抜け道はいくらでもって感じ。
 それから,チェックイン荷物の赤外線検査はずらっと並んでいるので,空港にはかなり早めにいった方がよい。
 私たちは,プライオリティをつけてくれるという空港職員の思いやりがかえってあだになり,かなり意味のない時間を過ごす羽目になった。上流意識をぷんぷんさせるインド人おじじたちに割り込まれるという事件も起こったりした。あなたたちは間違っているといわれても,彼らは自分たちの主張を繰り返すのみ。お互い引かないまま,ほぼ喧嘩状態で荷物のセキュリティチェックを受けた。
 いまから思えば,あの30分がいちばんインドらしい体験だったかも。



 今日は寿司くいに行きたかったなぁ。
 一人でカウンターに座るようにはなるまいと思っているんだが,そろそろそうもいかないかな。