『悪徳の栄え』『金閣寺』

参加している読書会で三島由紀夫がお題になったので、関連図書としてこれらも読んでいた。

三島の『金閣寺』はずいぶん昔に読んだと思うのだけど、そうそうこんな感じだったとフラッシュバックした。いっしょに読んでいた本が強烈だったので、少し印象が薄くなっていた。読ませる文章には魅了されていたけど、少し物足りない読後感が残った。私にはスタイリッシュすぎたのかも知れない。

一方のマルキ・ド・サドといえば、私はすっかり毒気に当てられっぱなしだった。幽閉中の牢獄で書かれたそうだけど、よくもまあここまで妄想できるものだ。「美徳」やら「理性」やら「良心」などをすべて否定するというのはすごいなぁ、という感じ。美徳や理性とはそもそも何なのか、改めて考えてみたいもの。

啖呵の切り方とか、『悪徳の栄え』の澁澤龍彦の翻訳は素晴らしくて、ろくでもないお話なのにぐいぐい引き込まれた。知らない言葉が多くて、電車の中で辞書を参照してひとりで慌てるということも多かった。

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