パリジェンヌ展/世田谷美術館

日曜美術館」で紹介されていたパリジェンヌを観に世田谷美に足を運んでみた。マルキ・ド・サドなんかを読んでいたので、ちょっと背徳的な気分になってみたり。

パリジェンヌがどういう女性なのかよくわかる素敵な展覧会。油絵もいいんだけど、当時のファッション誌を飾っていたというエッチングとかポスターが私のお気に入りだった。

さほど混雑していなくて、気ままにのんびり眺められるのもとてもいい感じ。

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『悪徳の栄え』『金閣寺』

参加している読書会で三島由紀夫がお題になったので、関連図書としてこれらも読んでいた。

三島の『金閣寺』はずいぶん昔に読んだと思うのだけど、そうそうこんな感じだったとフラッシュバックした。いっしょに読んでいた本が強烈だったので、少し印象が薄くなっていた。読ませる文章には魅了されていたけど、少し物足りない読後感が残った。私にはスタイリッシュすぎたのかも知れない。

一方のマルキ・ド・サドといえば、私はすっかり毒気に当てられっぱなしだった。幽閉中の牢獄で書かれたそうだけど、よくもまあここまで妄想できるものだ。「美徳」やら「理性」やら「良心」などをすべて否定するというのはすごいなぁ、という感じ。美徳や理性とはそもそも何なのか、改めて考えてみたいもの。

啖呵の切り方とか、『悪徳の栄え』の澁澤龍彦の翻訳は素晴らしくて、ろくでもないお話なのにぐいぐい引き込まれた。知らない言葉が多くて、電車の中で辞書を参照してひとりで慌てるということも多かった。

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平野甲賀と晶文社展/ggg

目先の仕事が一段落した(はず)なので、会社を早めに出てギンザ・グラフィック・ギャラリーに寄ってみた。平野甲賀さんのデザインを間近に見られてちょっとうれしかった。

手直しして和紙に刷り出したという作品群がとても素敵。私の棚にある晶文社の本も何冊か見つけた。

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『君たちはどう生きるか』

書店のベストは全部読むくらいの気概を見せよ、という学生時代の講師の言葉を思い出して今さらながらだけど読んでみた。

昨今のご時世を反映して流行っているという解説を何度か見聞きしているのだけれど、なるほどね、という感じ。それなりに「いじめられっ子」だった子供時代を思い出しながら読み進めていた(生意気だったので、それなりに戦っていたような)。

自分なりに(勝手に)イメージを膨らませるタイプなので、私は文字だけの方がよい。漫画化された方も確認しなければと思ってはいたのだけど、やっぱりやめることにする。コミカライズされた作品はあまり好きではない。

さて、この本を姪に紹介できるような叔父に私はなれるかしら。

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『新 物理の散歩道 第1集』

ひょんなことから教えてもらった「ロゲルギスト」。「ロゴス」(真理)と「エルゴン」(エネルギー)を組み合わせた学問名を「ロゲルギーク」と呼び(造語だそうで)、それを研究する人が「ロゲルギスト」だとか。ベストセラーのシリーズだそうだが、私は初めて聞いた言葉。まあ、古典といえば古典なのだろうけれど、自分の教養のなさを思い知る。

ノーバート・ウィーナーの『サイバネティクス』に対抗するのが、知性あふれるロゲルギストたちの当初の目的だったというのだから面白い。

私が読み始めたのは、ロゲルギストのセカンドシーズンに当たるもの。「科学者の立場での随筆」とあるが、とてもとても興味深い内容ばかりだったりする。いま読んでもなるほど、という素朴な疑問が見事に解説されていたりする。

ウィットに富んだ先生たち。素敵である。

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あとで思い出しやすいように目次をあげておく。

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解説に「人々の科学への飢えを癒した」とある。私はずっとそうかも知れない。

仁和寺と御室派のみほとけ/東京国立博物館

昼間それなりに集中して少し早めに会社を出て、国博に見仏に行ってきた。金曜日の夜は21時まで開館なのがありがたい。始まったばかりで人が少なかったのもありがたいありがたい。

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まったくもって勉強不足で「御室派」についてほとんど知らなくて情けないかぎり。

前半は文書中心。平安から鎌倉、江戸に至るまで、文書の変遷がよくわかる。天皇の和歌とか医術書とか延喜式とか方丈記とか、バリエーションか豊富なのもとても興味深かった。私のお目当はといえば、空海らが書写して持ち帰ったという「三十帖冊子」だったりした。びっしり埋め尽くされた文字に圧倒されっぱなしだった。あとは曼荼羅。今回見たのは胎蔵界の方なんだけれど、素晴らしいに尽きる。後期の金剛界も見たいもの。

後半は仏像中心。御室派のお寺からおいでになった仏像はどれも素敵。秘仏公開というのもすごい。私的には、大阪道明寺の十一面観世音に魅入られてしまった。久しぶりに身動きできないくらい。後期に来る仏もあるようなので、そっちも必見な雰囲気。

今回の展示は撮影が許された場所もあった。人が増えると収拾がつかないのだろうし、人が少ないうちにあれこれ撮影させていただいた。

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グッズコーナーでは仁和寺の朱印がおいてあるのだけれど、1枚は後期からだとか。むむむ。

まだまだ見てみたいし、これら公開されるものもある。また行きますかね。

見仏大好き。

『広辞苑をつくるひと』

広辞苑 第七版』のおまけ。三浦しをんは取材を存分に楽しんたのだろうというのが伝わってくる。

仕事ではリュウミンを使っていたりするのだけれど、秀英体も悪くないなと思った(横組だと雰囲気が変わるのだろうけれど)。パラパラめくった印象では、第七版の秀英体が前の版のままであるというのはうすうす気が付いていた。たまたまだけれど、私は学生時代にダンボールの型抜きの会社でアルバイトしていたことがあって、職人技はこの目で見ていたことがある(君はこの仕事に向いているとも言われたような)。

本がこうやってできている、というのを知るにはとてもいい本でした。

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