ルーブル美術館展 肖像芸術/国立新美術館

昼間の用事にちょっと疲れたので、気分転換に国立新美術館に寄ってみた。東京都美術館に行こうかと思ったのだけど閉館時間が早くて断念(金曜日だけではなくて、土曜日も少し遅くしてくれたらいいのに)。

ルーブル美術館は半日ずつ4日をかけて入れる部屋を歩いてみるという馬鹿なことをしたことがある。情報量が多すぎて頭がパンク状態になった旅行だった。

今回の展示は肖像に焦点を当てたもの。こうやって整理してくれるというのはありがたい。エジプト、ギリシア、ローマからアルチンボルドまで、見ごたえ十分だった。世界各地の特徴を比較できたりするのもとても楽しい。

この人現代人みたいできれいだな、というのが数点あるのだけど、実は男性だったりして私的には苦笑い。私が髪型に引きずられたのかも知れないし、今回は美少年に関心が高いキュレーターが作品を選んだのかも知れない。

もちろん女性の肖像画もいくつもあって、「スカヴロンスキー伯爵夫人」の愛らしさは誰もが認めるところではないかと思う。「この人かなりふくよかだね」という声も聞こえてきたけれど、家族をモデルにしたかもしれないというレンブラントの作品も心に残った。

キラキラの小品もあるので人が多くても仕方がないと思っていたのだが、案外人が少なくてゆっくり眺められたのが何よりもよかった。

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かなり寒かったし、サッカーのワールドカップも始まったことだし、その影響もあるのかしらね。夜の新国立美術館もいい感じ。

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『いとしの印刷ボーイズ』

Web連載「今日も下版はできません!」を一冊にまとめた本。この本は電子版で読んではいけない。身近な世界の業界あるある話を楽しく読んだ(当事者として笑えない経験がないとはいえないのだけど)。

これまでの常識が通じないことも多い昨今、読んでおいたほうがよい人は多そうな雰囲気。ずいぶん昔になるけれど、進行の改善を目的として印刷現場の見学に行ったとき、思っている以上にアナログなのだということを理解してもらったことがあった。共通言語をもつというのはとても大切。傍注の用語解説はとても役に立つと思う(私ならルビを入れるというのがいくつかあったけど)。

とりあえず、この本を私が手にとっているということは、無事下版できたってこと。よかったよかった。

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『マルコヴァルドさんの四季』

課題図書に指定されたイタロ・カルヴィーノの本にちょっと行き詰まったので、同じ作者の少年向けのタイトルを読んでみた。現代イタリア文学って読んだことがなかったし、その世界観の入門としてはよい作品かもしれない。ウイットに富んだストーリー展開で、おいおいという落ちを楽しんだ。

小学5・6年以上が対象となっているこの本、あの頃の私がこの話に出合っていたらもう少し愛らしい性格を構築できたのかしらね。

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『ハリネズミの願い』

書店をふらついている探しているときに出合った本(残念ながら探している本はなかったのだけれど)。

ハリネズミというと社会人になりたての頃に何度か行った神楽坂の灰皿を思い出す(灰皿目当てに行ったこともあったような)。イラストに描くとハリネズミはとてもかわいい。

この本のハリネズミはとても心配性で想像力、というか妄想力がとても豊かで、そして孤独。帯の推薦文にもあるけれど、自分のことを見ているようだな、と思うのは私だけではないらしい。個人的にはカタツムリとカメのやり取りに共感していた。

最後にリスに会えてよかったね、というお話なわけだけど、「多くの言葉を交わさずにテーブルに向かいあって」座っていられるような関係っていいよなって思う。

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ターナー 風景の詩/損保ジャパン日本興亜美術館

ターナーの風景画を眺めてきた。

ターナーの作品は何度か観ているのだけど、比較的大きな作品が多かった気がする。今回の展示は比較的小品が中心で、書籍の挿入画、ヴィニェットの精細な描写を堪能した。エッチングとの違いを知らなかったのだけれど、それ以前の凹版画をエングレービングと呼ぶのだそうだ。もう少し勉強してみなければ。

ターナーの展覧会らしく、イギリスに加えてさまざまな地域の風景を楽しめた。海洋が主題の作品も素敵だったけど、個人的にはスイスの悪魔の橋から眺めた景色というのがとても好きだった。

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新宿の損保ジャパン日本興亜美術館には初めて足を運んだ。あ、これ知ってるかもという東郷青児の作品のかけられていたり。展示方法はもう少し工夫してほしい気もする美術館なのだった。晴れていれば新宿界隈の街並みももっと楽しめるのかしらね。

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