<b>なにも願わない手を合わせる</b>

なにも願わない手を合わせる

なにも願わない手を合わせる


学生のときに『東京漂流』と出会って以来,ときどき藤原さんの本が読みたくなる。この人のように見たり,感じたり,表現できればよいなとあこがれている人の一人だったりする。『メメント・モリ』に掲載されていた,
  犬に喰われるほど人間は自由だ。
という言葉と写真は脳裏に焼きついて離れないものの1つ。
四国巡礼から始まるこの本,他界した父親のことを思いながらしみじみ読んだ。一時退院のとき,快気祝いだと嘘をついて連れて行った奥沢の寿司屋を出たときの,
  ここの穴子はうまかったな……。いい店を教えてもらった。
という父親の言葉を思い出した。あれから何年経ったのか。
四国巡礼をする気力や時間はないけれど,この本に取り上げられていた「薬王寺」というところに厄年払いにでも出かけてみたいと思ったりする。って,ちっと遠いけど。