<b>脱出記</b>

脱出記―シベリアからインドまで歩いた男たち

 好きだと思うから読んでみなさいと先輩からいただいた本。ちょっと寝かせていたんだけど,一気に読んだ。
 抑留されたポーランド人のシベリア抑留からインドへ脱出するまでの記録。シベリアの収容所からモンゴル,チベットを経てインドまで,1年間も歩き続けたという。追跡者の影が見える映画のような話ではないのだけれど,真実というのはかくも過酷のものかとただただ圧倒される。一度奪われた自由を取り戻すというのがどれほどたいへんなことか,自由を享受する私には想像もつかない。同じような状況におかれたとき,私はどんな行動をとるのか考え込んでしまった。
 この話の脱出を決意させたのが,実は抑留する側だったというのがちょっと以外だった。国の体制とその国の人の考え方は必ずしも一致しないという,ちょっと考えれば当たり前のことを改めて認識したりした。
 仕事でドイツに行かせてもらったとき,ちょっとした差別を受けたり,逆に大歓迎を受けたりという経験が私にもあるんだけど,あのときの記憶がフラッシュバックしたのだった。



 家でやればいいや……,と仕事を持ち帰るも,今日はすっかり読書の一日になってしまった。
 どこかで時間を作らないといけないまずいな。