<b>ラグビーとか</b>

 だれがあの展開を予想しただろうか(ってありがちな感想だけど,それ以外になんて言えばいいんだろう)。
 いつものファーストキッチンで待ち合わせた友達と最初に交わした言葉は,「とりえあず楽しめればいいね」だった。ここ数年でテンションがいちばん低かったかも知れない。
 国立競技場は思ったより人が入っているなって感じ。対抗戦2位と6位の試合なんだししかたがない。むしろ,大学選手権の出場も逃した明治の応援にこれだけ人が集まるのだなぁと妙に感心していた。
 キックオフ直後の早稲田,明治,両チームの動きは決してよいものとは言えなかったと思う。うーむ。もう少ししゃきっとしてほしいなぁって感じ。
 それが変わってきたのは明治が先制してからだった。あれれ,早稲田は何をやっているんだろう。
 で,気がつくと明治リードで前半終了。おー,ずいぶん久しぶりではないか。
 ハーフタイムの売店では,紫紺のジャージが飛ぶように売れていんだとか。「気合を入れて応援しなきゃ」なんて声もずいぶん聞こえた。
 後半。明治の動きはとってもよかった。フォワードが突進する,バックスもゲインする。気がつくと,2トライさのリード。
 そのままで終わらないのが早明ラグビーのおもしろいところ。エンジンがかかった早稲田の反撃は素晴らしかった。
 ロスタイム。あとワンプレーだねというところで,早稲田はトライをとった。ゴールキックが決まれば同点。キックした瞬間,鳥肌が立った。
 ボールがポールに当たってノーサイド
 ……。
 明治が早稲田を破ったのだとわかるまでちょっと時間がかかった。9年ぶり? そっか。そんなに勝ってなかったんだ。
 「わくわくする楽しい試合だったね。明治はよくやったよ」と,ずっと早稲田を応援していたおじさんの声がなんだかとってもうれしそうだった。
 おもしろかったねーなんて話をしながら外苑を歩いていたら,友達から電話がかかってきた。テレビ観戦してたんだとか。テンションの高さにちょっと笑った。
 そうそう。だからラグビー観戦は止められないのだ。