もちろん読んでいるよねと言われたのだけど、読んでいなかった本。言われてみると、赤瀬川源平の本はこれまで手に取ったことがなかったかもしれない。
私のスマホにはいくつか辞書が入っていて、『新明解国語辞典』もそのひとつだったりする。ふと疑問を持ったときにとりあえずいくつかの辞書を引いてみるというのは、スマホを使うようになってからかもしれない。困ったら広辞苑か机上の中辞典に聞いてみる、という習慣は前からだけど。日常的にめくるのは『記者ハンドブック』なわけだけど(すぐに自信がなくなって同じ言葉を何度も確認するだめな人ではあるけど)。
『新明解国語辞典』がこうだったのかというのは、この本を読むまで気にしたことがなかった。この本を読みながら用例を確認してみると、たしかにとても面白いものがいくつも見つかった。
手元の第七版と比較してみると、新旧の違いがわかってともかく面白い。
例えば、恐竜の数え方。この本では、恐竜を一匹、二匹と数えるとあるが、第七版には「頭」が加えられているのがわかる。さすがに、ティラノサウルスは一頭と数えたい。
用例で面白かったのは「おおかた」。この本では「入れ代り立ち代り現れて、彼女の財産の-を毟り取っていたようです」というのに突っ込みが入っているが、第七版は「株の失敗で彼女は財産の-を失った」となっている。彼女の不幸は変わらないけど、世相を反映したものになっているということか。
まあ、ともかく楽しく読んだ本なのだった。