『一人称単数』

村上春樹の短編集を読んでみた。その世界観が身近に感じられる気がして、個人的には長編よりも短編の方が好きだったりする。この本でいちばん印象深かったのが、「僕は『読書家』と言えるほど系統的に緻密に本を読んできた人間ではないが、活字を読んでいないことにはうまく時間を過ごせない人間の一人だ。」という一節。まさに私のことだ。

村上春樹の本を読むと、いつも音楽が気になる気がする。この本に出てくるシューマンの「謝肉祭」は手元になかったので、その名前が出てきたときにはシューマンの別の曲をかけていたりした。クラシックもジャズも「マニア」と言えるほど緻密に聴いてきた人間ではないことは言うまでもない。本よりは少しだけいろいろなジャンルを聴き込んでいるかもしれない。

この本に収められた8作の中で、いちばん好きだったのは「品川猿の告白」だった。ブルックナーが好きな猿に聞いてみたいことがたくさんありそう。

実は、私が入手した本はエラー本だった。隙間を埋めるのは簡単だったのでこれでいいや、なんだけれども、エラー本だからといってお宝になるわけではないのはちょっと残念。


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